海外安全対策情報

 

  1. 社会情勢
    2011年初頭、アラブの春の影響を少なからず受けた当地の抗議行動は、体制の転覆を要求せず、体制内の改革に限定されていました。これに対し国王が取った迅速な勅令の発出等、実効的な対応は多くの国民によって評価されていたように見受けられます。また、アラブの春以降も、生活状況の改善を求める抗議行動等が散見されていますが、ほとんどが平和的に行われています。また、対日感情は基本的に良好であり、特段の変化は見られません。

  2. 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
    3月10日、当国検察は、2012年の犯罪処理件数が34,480件に上り、2011年の26,741件に比べ28%増加したと発表しました。地域別では、シーブ県が2,637件で最も多く、その中でもマスカット行政区の1,153件が最多でした。また、犯罪別では違法薬物の取引に関わっていた者が最も多く逮捕されています。
    なお、邦人の被害事例は認知されていません。

  3. テロ・爆弾事件発生状況
    2013年1月から3月の間、当国内において、テロ・爆弾事件は認知されていません。

  4. 誘拐事件発生情報
    2013年1月から3月の間、当国内において、邦人が被害者となった誘拐・脅迫事件は認知されていません。なお、2012年1月以降、当館が認知している邦人以外が被害者となった誘拐事件は以下のとおりです。((1)から(10)は2012年中に発生した事件で、(11)以降は本年発生した事件です)

    (1)金銭上のもつれから、アル・クードゥ(Al Khoud)に居住するアジア国籍の者を誘拐し、イズキ(Izki)で監禁していたアジア国籍の者21人が逮捕されました。

    (2)アル・クードゥ(Al Khoud)において、外国から労働者を当国へ派遣させるために要した費用を支払っていなかった経営者に未払金を支払わせるため、同経営者が雇っていた従業員を誘拐した男が逮捕されました。

    (3)マスカットから外国人を誘拐し北バーティナ(Batinah)のハブラ(Khabourah)で監禁していた5人が逮捕されました。

    (4)誘拐と強盗の罪でオマーン人3人が逮捕されました。主犯(相乗りタクシーの運転手)は、他の2人と共謀し、マスカット市の西に所在するアメラットの住宅街で、マスカット市マトラに向かおうとしていた被害者を相乗りタクシーに乗せた後、人里離れた地域に向かい、同共謀者2人が被害者にナイフを突きつけ現金と携帯電話を脅し取ったとのことです。

    (5)マスカット行政区シーブのショッピングモールにおいて、16歳から18歳の複数のオマーン人が、未就学女子児童を連れ去ろうとしたところ、不審に思った一般客に呼び止められ未遂となる事案が発生しました。

    (6)アジア国籍の者を誘拐し、その親族に身代金を要求していた他のアジア国籍の者3人が逮捕されました。また、警察が被疑者の住居に対し捜索差し押さえを実施したところ、身分証明書を所持しない多数の外国人がおり、同人らは不法入国の疑いで逮捕されました。

    (7)アジア国籍の者を誘拐して農場で監禁し、身代金を要求していたアジア国籍の者2人が逮捕されました。

    (8)消息が不明であった8歳の女の子が発見され、体に殴打された痕跡があるため、警察が誘拐事件として捜査を開始しました。

    (9)マスカット行政区ワディカビールにおいて、同地に所在するインド人学校に通学する女児生徒が、帰宅途中にディスターシャを着た20代の男に名前や学校について尋ねられた後、脅される事案が発生しました。同男性は、通行人に気づくと逃走したとのことです。

    (10)北バティーナ地方において、家屋に侵入して貴重品を窃取し、女性を強姦しようとしたアジア国籍の者が逮捕されました。

    (11)アジア国籍の女性がタクシー待ちをしていたところ、車両に乗車した男性4人に声をかけられ、これを拒絶したところ、無理やり車内に押し込められた上、郊外へ連れて行かれ強姦される事案が発生しました。

    (12)イブラにおいて、家屋に押し入り未成年女性を誘拐し強姦した24歳及び26歳の男性が逮捕されました。

    (13)3月5日、インド人学校に通う12歳の少女が学校を終え、迎えに来る父親を待っていたところ、数人のグループに誘拐されましたが、途上、被疑者の隙を見て逃げ出し、市民に保護された後、無事父親の元に戻ることができました。なお、事後、被疑者が逮捕されました。

    (14)ホテルの駐車場で、ヨーロッパ国籍の男性を襲い、同伴していたアジア国籍の女性を誘拐し、強姦した市民5人がソハール警察に逮捕されました。なお、被疑者3人は酔払っていました。

  5. 邦人及び日本企業の安全に関わる諸問題
    当国の交通事故件数等
    (1)2013年5月9日に当国警察当局が発表した交通事故に関する統計によると、2012年1年間の交通事故死亡者数は過去最高の1,127人に達しました。また、2012年1-2月期の交通事故件数が1,141件であったのに対し、2013年同期では、1,369件と増加傾向(19.9%増)にあります。

    (2)WHOは、2010年、当国の10万人あたりの交通死亡者数は30.4人で、当国は、地中海東方地域で、イラン(34.1人)、イラク(31.5人)に次ぎ3番目に多いと発表しました。また、地中海東方地域は、アフリカ地域に次ぎ世界で2番目に交通死亡者数の多い地域で、当国はGCC内で最も同死者数の多い国とのことです。GCC内で最も同死者数の少ない国は、バーレーンの10.5人で、以下UAE(12.7人)、カタール(14.0人)、クウェイト(16.5人)、サウジアラビア(24.8人)です。