| English

 

4.二国間関係

(3)経済

●日・オマーン二国間貿易

 従来より,わが国とオマーンの貿易は原油・天然ガスといったエネルギー分野が中心でしたが,近年の原油価格の上昇,オマーンの経済発展と共に,二国間の貿易額は増加傾向にあり,2008年にはピークの約100億に達するまでになりました。世界金融危機に伴う原油価格下落の影響を受けた2009年には貿易額が約4割縮小しわが国からの輸出は約23.5億ドル,オマーンからの輸入は約33.2億ドル(2009年)に上っていますが,2010年の傾向は世界危機以前の水準に戻る勢いを示しています。わが国は,オマーンにとって,実質的に最大の貿易相手国となっています。

 オマーンからわが国への主な輸入品目(輸入額ベース)の第1位は原油であり,第2位は液化天然ガス(LNG)として輸入される天然ガスとなっています。第3位には,2009年にソハールのアルミ精錬プラントが稼働を始めたことに伴い,突如としてアルミニウム塊が現れています。第4位もエネルギー関連品目でありますが,第5位にはいんげんまめ,第6位にはもんごういか(冷凍),第7位にはめばちまぐろ(冷凍)が入っています。特にいんげんまめは当地の冬場の温暖な気候を活かして栽培されており,冬場のわが国のいんげんまめのシェアの9割を占めています。

 反対に,わが国からオマーンへの主な輸出品目は,自動車,機械,電気製品となっており,街中では多くの日本車が走っている他,日本の機械,電気製品にも高い信頼が寄せられています。また,輸出額として大きくはありませんが,オマーンは香港に次いで日本のマスクメロンの世界第2位の輸出対象国となっています。

●わが国のオマーンに対する経済協力の現状

 わが国は長年に亘り,オマーンに対する開発援助・技術協力を行って来ています。わが国はオマーンにとって最大の援助供与国であり,JICAによる技術協力・研修事業を中心としたわが国の協力は,オマーンの国造り,人材の育成に大きく貢献してきたと高く評価されています。右協力は経済のみならず,政治,社会的安定の維持にも貢献しています。

 その一例として,これまでにJICAによる研修事業に参加したオマーン人は延べ500名を超えますが,現在では,スナイディー・スポーツ相を始め,政府及び民間企業の要路で活躍しています。

 また,わが国のオマーンに対する技術協力の一環として,最近ではJICAより職業訓練専門家が派遣されているほか,国際石油協力センター(JCCP)の事業として97年から始められた油田随伴水処理の共同研究事業において,実証プラントが完成し,ルムヒ石油・ガス相の臨席の下でお披露目セレモニーが開催されるなど,環境分野,人材育成等,わが国とオマーンの双方が重視する分野において,大きな成果を上げています。

 「油田随伴水処理実証プラントお披露目セレモニー(2010年11月)」

政府開発援助(ODA)の実績

●今後の経済関係強化に向けて  

 原油価格の上昇を背景とした急速な経済発展に伴い,まもなくオマーンはODA対象国からはずれる見込みです。その場合,JICAによる技術協力や研修事業は実施できなくなりますが,これまでオマーンの発展に寄与してきたわが国の貢献は高く評価されており,引き続き,有償での技術協力や研修事業を実施していくことが検討されています。

 また,オマーンは原油依存型経済からの脱却を目指しており,先進的な技術を有する日本企業の進出を強く望んでいます。日本企業は,これまで,原油,LNG事業,海運事業を中心に同国の発展に大いに寄与してきている他,近年では,ソハール工業港地域の開発において石油精製所,肥料プラント,還元鉄プラントの建設等にも貢献しており,今後開発が予定されているドゥクム工業地域においても,日本企業の更なる進出が期待されています。最近の日本企業の動きとしては,2010年5月に,日本企業が参加するコンソーシアムがバルカ3,ソハール2(いずれも発電容量744MW)IPPプロジェクトを受注するなど,発電事業への関心が高まっています。また,オマーンは省エネルギー・再生可能エネルギーの導入にも意欲的であり,特有の気候を生かした太陽エネルギーの利用など,日本の環境技術への期待も高くなっています。

 このことから我が国政府としては,日・オマーン間の投資貿易促進のために,日・GCC間のFTA締結に加えて,日・オマーン租税条約の締結に向けて努力していきたいと考えています。

(平成23年1月 更新)