4.二国間関係
(4)文化
オマーン国民には,古くから海洋国家として広く諸外国と交易を行い,伝統文化を維持してきたとの誇りがあります。また,王室を持つ国家として,皇室のある我が国に対してはオマーン国民の間に広く親近感が見られます。さらに,近年の急速な発展過程の中で,経済先進国であると同時に古来の伝統・文化を尊重する我が国を模範としてとらえ,国家建設の手本の一つとするなど,当国の対日意識は非常に良好といえます。
当館では,こうした背景を踏まえつつ,日・オマーン間の重層的関係の構築という外交方針を視野に入れ,文化活動を通じて,今日の日本の様々な姿を伝えることによって,オマーン人の対日理解を促進し,日本とオマーンの間には多くの共通の関心事項及び利害関係があることを認識してもらえるよう努めて来ています。
近年では,オマーン日本友好協会を始めとする友好団体や日本に縁のある人々の協力も得つつ,日本映画の上映,和食の紹介,茶道の実演,和太鼓演奏,各種セミナー・講演会等を行い,日本文化に触れる数多くの機会を提供しています。また,各種招へい事業などを通じた人の交流,大学間の学術交流の促進,日本に留学するオマーン人学生の支援などにも力を入れています。
特に,2010年は,カブース国王陛下の即位40周年を記念し,当館主催で森英恵オートクチュール・ファッションショーや「菊の会」による日本舞踊の公演など,一年を通して数多くの文化事業を行いました。

森英恵オートクチュール・ファッションショー「East
Meets West」の様子(2010年5月)

「菊の会」公演の様子(2010年12月)
政府間での協力としては,2008年4月のハイサム遺産文化相訪日の際に発表された日・オマーン共同声明に基づき,公文書管理の分野などで協力を行っています。また,2010年3月には,マスカット国際図書展において日本政府が展示した図書296冊をオマーン政府に寄贈しました。

遺産文化省次官に対する図書寄贈の様子(2010年3月)
2010年を飾る栄えある行事として,東京大学における「スルタン・カブース国王陛下講座」の設立を挙げることが出来ます。この講座は,カブース国王陛下の寛大な寄附により実現したものであり,東京大学における広義の中東研究を促進しようとするものです。10月にラーウィヤ高等教育大臣が訪日して本講座設立のための記念式典が行われ,同大臣と濱田東京大学総長との間で合意文書に署名が行われました。この講座は,二国間関係において,国王陛下の即位40周年を記念する最も目に見える具体的成果の1つとなりました。

東京大学における「スルタン・カブース国王陛下講座」設立に関する
合意文書署名式典の様子(2010年10月)
最近では,オマーンにおいて日本のマンガやアニメーションに関心を持つ若者が増えていることもあり,今後は日本の伝統文化の紹介にに留まらず,マンガ,アニメーションを始めとしたポップカルチャーに関する情報発信も行い,更に多面的な日本の姿を理解してもらえるよう,積極的に文化事業を実施していきたいと考えています。
過去の主な行事
(参考)
1.我が国のポップカルチャー外交(国際漫画賞,アニメ文化大使,ポップカルチャー発信大使)詳細はこちら
2.日本事情に関する海外向けサイト
Web
Japan
Trends
in Japan
3.日本留学関連サイト
日本留学ポータルサイト(Gateway
to Study in Japan)
日本留学総合ガイド
独立行政法人日本学生支援機構
4.最近の主な文化人招聘実績(肩書きは訪日時)
(1)ファウジーヤ・ファールシー教育省次官(2003年,オピニオンリーダー)
(2)モナ・マンゼリ国家評議会議員(2007年,21世紀パートナーシップ促進)
(3)サミラ・ムーサ国家評議会議員(2008年,21世紀パートナーシップ促進)
5.遠藤晴男氏への勲章授与
2007年9月9日,元JICA専門家である遠藤晴男氏が,長年のオマーンと日本との友好関係の強化に対する功績を認められ,カブース国王から,教育・科学・芸術勲一等を授与されました。詳細はこちら
6.オマーン日本友好協会
同協会は,1974年1月にオマーンと日本との間の文化,社会,経済,学術分野における関係の発展・促進を目的に設立され,故スウェイニ国王代理を名誉会長,オマル・ザワウィ外交担当国王特別顧問を名誉副会長兼理事長,ムハンマド・ズベイル経済担当国王顧問を名誉副会長として同年3月正式に発足しました。オマーン社会で最も長い伝統を誇る,格式の高い協会です。協会は,カブース国王陛下の即位40周年を契機に改組され,名だたる実業家を理事会メンバーに加えてその活動が強化されました。今後,文化活動に加え,経済分野での協会の活動が更に活発になるものと期待されています。
7.日本オマーン協会
1986年5月に藤尾政調会長(当時)の呼びかけで結成されました。1994年に関西支部が設立され,オマーンに文化関係団体を数回派遣しています。2007年5月,マッキー国家経済相訪日の際に活動の再活性化が図られました。
8.日本オマーン友好議員連盟
2001年11月に関係議員の参加を得て設立されました。2007年5月,マッキー国家経済相訪日の際,活動強化のために再度設立総会が行われました。衛藤征士郎衆議院副議長が会長,西村康稔衆議院議員が事務局長を務め,議員レベルの活動を通じて両国間の友好と親善の促進が図られています。
9.広島オマーン友好協会
1994年に広島で開かれた第12回アジア競技大会の際に,オマーンを含む湾岸諸国の応援を行った同市安佐南区を中心に,その後も市民交流を続けています。2010年11月から12月にかけて,カブース国王陛下即位40周年記念の機会を捉え,同協会の有志一行17名がオマーンを訪問しました。詳細はこちら
(平成23年1月 更新)
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