大使室から

令和6年1月29日

 
 

先日、公邸で新年賀詞交歓会を実施しました。そこでのあいさつを年頭の辞として掲げます。




 あけましておめでとうございます。今年こそ平和と安定への努力が実を結ぶことを願っています。既にいくつか良い兆しが見えてきたようです。共に海洋安全保障を重んじる国として、日本とオマーンとの防衛協力も前進しています。昨年2月には酒井海上幕僚長が当地を訪問し、協力の拡大に弾みをつけました。

 アデン湾では海上自衛隊護衛艦が活動を続け、昨年は「あけぼの」、「さざなみ」、「さみだれ」、「むらさめ」の4隻の護衛艦がオマーンに寄港しました。本日も、ちょうどマスカットに寄港中の「むらさめ」から艦長、海上保安庁捜査隊隊長始め5名の方をお迎えしています。「むらさめ」は、昨年10月5日に横須賀港を出港し、現在まで周辺海域において、海賊対処行動に当たっています。ご活躍と航海の無事をお祈り
します。どうぞご安全に。

 経済、文化面の交流や往来も進んでいます。昨年3月には岩田経済産業副大臣が当地を訪問し、エネルギー分野に加え新たな幅広い協力を目指す枠組みが発足しました。先日は中東協力センター率いるビジネスミッションが当地を再訪し、気候技術関連を中心に新たな分野における協力の可能性を探りました。

 ビジネスミッション来訪と機を同じくして、ルウヤ新聞社が毎年主催する12月のルウヤ・ビジネス・アウォードでは、今回、日本がCountry of Honor、名誉ある国に選ばれ、フォーカスされました。オマーンの人々が、これまでの長きにわたる日本とのビジネス関係を高く評価し、今後のさらなる拡充を強く期待していることの表れです。

 オマーンの人々が日本や日本人に寄せる圧倒的な信頼感は、ここにいる皆様と、私たちの先輩、先人が共に作り上げてきたものです。そのことに感謝しながら、でもそれに甘えてはいけないという気持ちで、友好関係増進の努力を続けてきました。間もなく2月には、経団連地域経済ミッションが当地を訪問します。次いで、当地開催のインド洋会議に日本の代表も参加し、海洋安全保障におけるオマーンとの協力を深めていく機会にしていきます。
 
 4月には大阪・関西万博が開幕します。オマーンは、ジーヤザン殿下を長とする国内委員会の下、万博への参加に大変積極的です。パビリオンの建設責任者のブサイディ文化担当次官は作業を監督するため再々訪日し、昨年11月はカイス商工業・投資促進大臣も訪日して万博会場を視察しました。開幕に向け、そして開幕後も、閉幕後も、この大阪・関西万博がオマーンとの関係強化にとって大きな弾みになることを期待しています。

 文化・スポーツ交流の促進についても、是非応援をし続けてください。私の着任後間もなく、まだコロナ禍の難しい時期でしたが、宝生流の能楽公演をロイヤルオペラハウスで行いました。令和4年3月のことです。同じ年の11月には、ロイヤルオペラハウスで陸上自衛隊西部方面音楽隊が、年に一度のタトゥーに参加しました。先週もロイヤルオペラハウスの南広場で、オマーン日本友好協会主催の友好の夕べが催され、日本からお迎えしたオーケストラと声楽家が演奏を披露しました。ロイヤルオペラハウスが話題になる度、オマーン人の誰かしらが必ず日本の行事を思い出してくれるのも、最近ありがたいことの一つです。

 旧マスカットにある国立博物館は、精力的に日本との関係強化に取り組んでいます。来月には博物館内にオマーン・日本コーナーが開設します。日本の建築家による増設計画も動き出しました。先のカブース国王は膨大な日本陶磁器のコレクションを持っていらして、その公開に向けた段取りの検討も始まりました。マスカットからは少し遠い場所でしたが、先日は、ハイサム国王即位記念日のお祝いで日本の花火師による花火がオマーンの夜を彩りました。

 今年のオマーンの冬は例年になく涼しく良い気候ですが、その中で年を越して開催中のマスカット・ナイト参加のため、奈良・オマーン友好協会の皆様が当地を訪問されています。この場にお迎えしていますので、懇親を深めて下されば幸いです。スポーツも、ホッケー、卓球、サッカー、ゴルフ、ロードレース、様々の年代の人がオマーンを舞台に競い合い、オマーンとの交流を深めています。

 これからの日オマーン関係にとっては、若い世代の交流を拡大させていくことも重要です。日本企業のご支援、奨学金や日本政府の後押しにより、今年もオマーンの幾多の留学生、行政官、技術者、リーダーの卵達が日本での学業や研修、訓練に勤しみます。日本からの留学生や研修生も、オマーンで一層多くの学びの機会を得られればと思います。今日はスルタンカブース大学に留学中の、東京外国語大学の学生さんもお迎えしています。両国友好関係の新たな舵取り役になってもらえることを期待しています。

 オマーンでの私の任期もあと1ヶ月少々となりました。2月12日の天皇誕生日レセプションで、また皆さま全員にお会いできればと思います。まずはこの機会を借りまして、この3年間のご厚情ご協力に重ねて感謝申し上げたく、本年が、皆様にとって安全で祝福された年となりますことを祈念いたしまして、私のご挨拶といたします。
 
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歴代在オマーン国日本大使

第14代 山本 条太(2022年1月11日~)
第13代 小林 利典(2018年10月17日~2022年1月3日)
第12代 齊藤 貢(2015年12月2日~2018年9月19日)
第11代 久枝 譲治(2011年10月14日~2015年11月20日)
第10代 森元 誠二(2008年6月24日~2011年9月22日)
第9代 大森 敬治(2005年3月6日~2008年6月8日)
第8代 萩 次郎(2001年11月16日~2005年2月19日)
第7代 神長 善次(1998年9月30日~2001年10月29日)
第6代 香田 忠維(1995年11月12日~1998年6月7日)
第5代 伊集院 明夫(1994年1月25日~1995年10月24日)
第4代 塙 治夫(1991年8月21日~1994年1月9日)
第3代 小原 武(1989年4月15日~1991年7月10日)
第2代 古川 清(1986年3月3日~1989年1月5日)
初 代 加藤 淳平(1983年3月10日~1986年1月17日)